皆さんは不動産の権利証を何かお持ちでしょうか?
現物を目にした事の無い方も、不動産の所有権等を証明する大切な証書であると言う事はご存知でしょう。

実際の権利証と言う物は、法務局に登記を申請した際の申請書の控えに、法務局が受付印等を押しただけの書類です。
でも大抵の場合、上質の厚紙で綴じてあり、中身には偉そうな(?)法務局の受付印等があって、いかにも”超重要書類”って雰囲気をかもし出しております。

家やマンションを買うと、その登記済み権利証がまるで家そのものであるかのような錯覚を覚えます。
そんな偉そうな(?)権利証なんですが、実はその存在が徐々に消えていくことになるんです。

税金の申告等と同様、登記手続きも国を挙げて電子化を進めております。
ここ1,2年の間に、インターネット経由で登記の手続きが出来る法務局も増えてきました。

で、そもそも権利証とは、不動産の売買等の登記の際に法務局に提出しないといけない書類なんです。
インターネットでの登記を考えた際、紙で作成された権利証ですとネット送信することが不可能なので不便ですよね。

そこで考案されたのが権利証に代わる”登記識別情報”とよばれるものです。
単なる12桁の数字等の符号なんですが、銀行の暗証番号と似ていて、その不動産の所有者等にのみ教えられる符号です。

銀行の暗証番号と一緒で、登記申請の際は、その符号を知ってる人がその不動産の持ち主であると認める、と言う仕組みですね。
この仕組みですと、権利証を提出する代わりに、インターネット経由でその符号を入力するだけでOKになります。

数字等の符号を知ってるだけで、その不動産が自分の物って言えるの???ってのも不思議ですが。
不動産の所有者自体は、住所や名前がちゃんと登記されていますので、番号さえ知れば勝手に持ち主になれる訳ではありません。

とはいえ、銀行のカードと暗証番号だけで勝手に預金を引き出される事件が多い事を考えると、ちょっと怖いですね。
現在オンライン化された法務局で登記が完了すると、従来の権利証に代えて、この符号の記載がある”登記識別情報通知”という書面が、新しい所有者の方に交付されます。

オンライン化はどんどん進んでおりますので、いずれ権利証が無くなるも来るでしょう。
ただ、この登記識別情報通知って書面が、まさに紙切れ一枚なんですよねえ。

昔ながらの”偉そうな”権利証に慣れてしまった私としては、”紙切れ一枚かい!”と思わず突っ込んでしまいます。