6月下旬に、民法の中の相続に関する部分の改正試案が発表されました。
憲法改正は参議院選挙でも今一つ争点になっていない(与党はしたくない?)感じですが、民法改正のほうは着々と話が進んでいます。

相続というと資産家だけの話のように感じるかもしれませんが、1円でも遺産が有れば必ず遭遇する話ですし、相続人が複数いれば、遺産を分けるという難しい作業は必ず発生します。
そういう意味では、大多数の国民にとって大きな影響のある法律改正な気がします。

で、今回の試案の中で特に気になったのが、相続があった際の配偶者の法定相続分を引き上げるというお話。
現在の民法では、亡くなった人の配偶者は、相続財産の2分の1を相続する権利があります。

この2分の1を、もっと増やしてはどうか、というのが試案のポイントです。
具体的には、例えば婚姻期間が20年以上になったら、3分の2にするのはどうか、といった試案が書かれています。

これは、個人的にはなかなか良い案な気がします。
やはり長く連れ添って家庭を築いてきた場合、その財産は二人の共有的な性格が強いでしょうから、半分ではなく、もっと増やしても良いと思います。

例え配偶者の法定相続分を増やしたとしても、そう遠くない将来、その配偶者が亡くなれば、その子や孫へ財産は移るわけですから、通常の親族関係であれば大きな問題にもなりにくそうですし。
まあ、揉めるときはどうあっても揉めるでしょうが、高齢化社会において、残された配偶者の老後の生活保障は重要な課題です。

ただ、個人的にはもっと発展させた形ではどうかと思うんです。
婚姻期間が長い場合は今より増やす一方で、短期の婚姻期間の場合は今より減らすんです。

例えば、
5年以内・・・4分の1
5~10年・・・3分の1
10年~20年・・・2分の1
20年~30年・・・3分の2
30年以上・・・4分の3
とか。

こうすれば、遺産目当ての亡くなる直前の結婚、とか、若い後妻に遺産持っていかれて前妻の子が困窮、といった悲しい話も減る気がします。
いっそのこと、婚姻期間が1年以内は法定相続分ゼロ!、とか思い切ってもいいかも・・・。

ここで注意しておきたいのは、この“法定相続分”というものは、相続人同士が揉めた場合に主張できる割合、にすぎないということです。
そもそも、円満な相続であれば、この法定相続分は完全に無視して、当事者同士で遺産分割すればいいだけです。

ですので、意図せず婚姻期間が短いまま結婚相手が亡くなったとしても、周囲が文句を言わなければ、私案(!)のように法定相続分がゼロとなっていても、全財産を配偶者が相続することは可能です。
そう考えると、婚姻期間1年以内はゼロ!、って結構有りだと思いません???

ま、まだまだ試案の段階なので最終的にどうなるかは全く分かりませんが、生活に直接影響する法律がどう変わるか、興味津々です。