ここ十年くらいでしょうか、タワーマンションの購入による相続税の節税というのが、資産家の方々の間で流行っておりました。
これは、相続税におけるマンションの評価額が実勢価格と大きく乖離しており、特に高層階になればなるほど実勢価格より相続税評価額が安くなるという点を利用した節税対策です。

極端jな例を挙げますと、1億円の貯金を持っている高齢の母親がいて、相続人は子供一人の場合。
そのまま母親が亡くなった場合の通常の相続税額は、
(1億円ー基礎控除3600万円)×30%-700万円=1220万円です。

亡くなる前に1億円でタワーマンションを買っておき、その相続税評価額が3千万円だった場合は、
3千万<基礎控除3600万円 
となり、相続税はゼロです。

え~、1億円で買ったマンションが、相続税の計算では3千万円で評価されるの??ホンマかいな!!!、と驚かれると思います。
しかし、タワーマンションの高層階の場合、3分の1どころかもっと安い評価になってしまうケースもあります。

その理由は、マンションの建物の評価が、基本的に1階だろうが50階だろうが同じ評価とされていて、マンション全体の想定再建築価格を戸数で割り算する(固定資産税評価)だけだからです。
その為、戸数の多いタワーマンションで購入時に数億円もするような最上階も、安い下層階の評価額と同じになってしまうんですね。
(戸数が多いと、1戸当たりの底地の評価も安くなります。)

これに目をつけた不動産業者が、全国各地の高齢資産家に対して、“タワマン節税しませんか?!”といった勧誘を繰り広げ、地方の資産家の方が必要も無いのに東京都心のタワーマンションの高層階を買い占めたりしている動きがあったようです。
国税庁サイドも従来から気にはしていたようで、ついに昨年あたりから、高層マンションの相続税評価を見直そうという動きが出てきております。

あまりにもひどい場合は、“相続税評価額ではなく購入価格で評価する!”、として追徴課税を行った事例も実際にはあったのですが、そういった個別対応ではなく、根本的に評価方法を見直すかもしれません。
“タワマン買ったら相続税安くなりまっせ~”、というダイレクトメールが実家に届いたら、今後は十分ご注意ください。