毎月の給料明細を見て、給料の“額面”と実際の“手取り”の差額は何でこんなに大きいんだろう?、と思う人は多いでしょう。
家族構成等によって個人差はありますが、月給40万円くらいのサラリーマンの方ですと、手取りは31万円くらいの方が多いかと思います。

かなりざっくりですが、この天引きされる9万円の内訳は、所得税1万円、住民税2万円、社会保険料6万円、雇用保険料1200円、といった感じです。
当たり前ですが、会社がこの9万円をネコババしてる訳ではなく、本人に代わって国等へ納めています。

“給料から税金天引きされて、手取りめっちゃ減ってる!”、と言われる人が多いですが、40万円くらいの月給ですと、実は税金の倍くらい社会保険料(健康保険や厚生年金)をとられているんですね。
この天引き制度のうち、住んでいる市や県に納めるべき住民税の取り扱いが、今、変わりつつあります。

元々、住民税も給料から天引きするのが法的には原則です(特別徴収と言います)。
ただ、住民税の天引きは、他の天引きに比べても事務負担が大きいため、会社が給料から天引きして市や県に納めるのではなく、市町村が住民本人に直接納付書を送って、本人が納めるというスタイルを容認してくれていたんです。

ですから、住民税が天引きされていない給与明細の人も結構いらっしゃると思います。
しかし残念ながら、個人の自主納付は、天引きに比べると滞納が多くなりがちです。

そこで、ここ数年、全国の自治体が“給料天引きの完全実施”へ大きくカジをきってきました。
平成30年にはすべての会社や個人事業主が天引きをすべし!!!、といったチラシやアナウンスが各所で聞かれます。

私も、ぼちぼち住民税の天引きに備えるよう、中小企業の社長さんに言い込まなければ、と思っておりました。
ところが驚いたことに、大阪市はこの平成29年度から、問答無用で天引きに切り替えて、会社等へ天引き分の納付書を送りつけているようです。

いや、“問答無用”という表現は大阪市に悪いんですけど、いきなり見慣れない納付書が送られてきても、中小企業の社長さんは意味が分かりません。
こういった役所の書類が送られてきた場合、“取り敢えず税金っぽいから税理士が来た時にでも聞いてみよう”、と中身をきちんと読まず放置するパターンも結構あるんですよね。

で、1,2ヵ月後に税理士が目にする頃には、既に期限遅れ、という事態が起こってしまいます。
そりゃきっちり読まないほうが悪いし、すぐに税理士等に聞かないほうが悪いし、そもそも法律では天引きなんだから当たり前の事、なんですけど。

もう少し行政サイドも、住民側の理解度や情報の浸透度を見極めながら、ゆっくり、丁寧に、対応していってくれたらなあ、と思います。