先日発表された国税庁の法人税の課税事績によると、今年6月までの1年間に申告した法人の所得金額は、前年度に比べ13.3%増の57兆828億円と、バブル期の平成2事務年度の約53兆円を16年ぶりに上回り、過去最高となったそうです。
世の中では”景気が回復してきた”と言う声がちらほら聞こえていますが、バブル期を越えて過去最高という数字には驚かされます。

しかし、全法人のうち黒字の法人は32.4%に過ぎず、全体の7割近くが赤字会社という数字も公表されました。
資本金1億円以上の大会社の黒字割合が53.7%という公表数字も合わせて考えると、中小企業の赤字の割合は7割どころではないということです。

大企業は良くなってきたけど、中小企業は相変わらず苦しいということでしょうね。
さてそんな中、”会社が赤字だと税務署は来ない”と言う”神話”があります。

確かに赤字会社の場合、税務調査に入って多少の指摘や修正があっても、最終的に赤字のままであれば税金を追徴されるには至りません。
その為、税務署としても”調査して多少指摘しても成果が無い”という結果が目に見えてるので、調査には来ないだろうと言う理屈です。

しかしながら、現実はそんなに甘くはないようです。
今回の発表でも、赤字法人(正確には無所得申告法人)の実地調査の件数は全国で4万5千件にのぼっています。

全法人の調査件数が14万7千件ですから、その約3割が赤字の法人への調査であったということですね。
勿論、事前にかなり疑わしい状況をつかんでいたからこそ赤字会社でも調査に入ったというのが実情かもしれません。

ただ、”会社が赤字でも、来る時は来る”というのが税務調査の真実でしょう。
赤字であっても常に公正な申告を心がけなければなりませんね。