尖閣諸島沖の中国船衝突ビデオ流出問題で、神戸海上保安部の巡視艇乗組員が『自分が流出させた』と上司に申し出たそうです。
捜査当局は、国家公務員法の守秘義務違反容疑でこの職員を逮捕する方針とか。

さてこのお話、なんで逮捕やねん!、と思いませんか?
ビデオを実際に見た人の多くは、よくやってくれたと思ったのではないでしょうか?

率直な感情論としては、実に納得しにくい話です。
今回の件は、守秘義務違反と言うよりも、内部告発者の保護を優先すべきではないでしょうか。

わが国には、公益通報者保護法という立派な法律があります。
違法行為等をしている企業を、内部で働いている労働者が告発した場合、その労働者を保護するという法律です。

今回の海保職員の情報流出は、この法律の適用要件自体はまったく満たしていないとは思いますが、法律の趣旨から言って、十分に斟酌すべき行動ではないでしょうか。
守秘義務違反といっても、過去の最高裁の判断からいって本当に“守秘”すべき情報かは微妙という意見もあるようですし、逮捕はどうなんって感じです。

この神戸の海保職員さんは40代で、自らも巡視艇に乗り組む海上保安官だそうです。
年齢やキャリアから言って、ちょっとした愉快犯的な動機とは思えません。

国民の知る権利をないがしろにして内閣の延命だけを図るような行為に対して、組織内部から敢然と告発した、私にはそう思えます。
別に民主党が好きとか嫌いとかありませんが、いくらなんでも逮捕はおかしいと思います。

一方の自民党も、情報漏えいの責任をとって大臣辞めろ!とか管総理も責任とれ!とか言ってて、的外れもいい所です。
“情報漏えい”の責任じゃないでしょ。

菅内閣が責められるべきは、“情報隠匿”の罪ですぜい。
こんなふうに思うのは私だけかもしれませんが、どないやねん!!!と思わず言ってしまいたくなる報道でした。