フランスの経済学者トマ・ピケティ氏の“21世紀の資本”という本が売れているそうです。
売れていると言っても今の所13万部くらいなんで、普通の書籍であれば“そこそこ”といった程度かもしれません。

ただこの本は本格的な経済書で、700ページもあって、お値段5,940円!、もするらしいので、専門書としては異例のヒットといえるのでしょう。
で、売れている要因は、その結論のシンプルさで、

“資本を持つものと持たざるものの差は広がる一方であり、これを踏まえて富裕層への資産課税を強化すべきだ”
ということらしいです。(竹中平蔵さんの解説?)

もっとざっくり言うと、
“資本主義社会では、金持ちはドンドン金持ちになって貧乏人との格差は開く一方だから、金持ちからじゃんじゃん税金を取りましょう!”
って感じでしょうか。(私の解釈)

こういう一般庶民にとって耳障りのいい分かりやすい結論だと、受けるのも分かります。
ところが、世界的に見ると、日本って意外と格差は少ないかもしれないらしいです。

と言いますのは、ウォールストリートジャーナル(WSJ)によると、“日本は主要48カ国の中で2番目に格差が少ない”という調査結果があるそうです。
おまけに、ピケティ氏自身の監修するデータベースの作成に協力した一橋大学の森口千晶教授は、
“日本の問題は収入格差が大きすぎるのではなく、反対に小さ過ぎるということなのかも知れない”
とまで、WSJに語っているとか。

さらにさらに、ピケティ氏の研究論文の共著者であり、森口氏とデータベースの作成にも携わった米カルフォルニア大学バークレー校のエコノミスト、エマニュエル・サエス氏は
“日本は一般的に収入格差が少ない国だ。なぜなら、特にエグゼクティブの報酬が企業の基準と年功序列の賃金体系により、非常に抑制されているからだ”と分析しているそうな。

ピケティ氏も困惑? 日本だけ格差縮小、と米紙指摘 景気後退などが影響か

ま、この手の調査は、数字の取り方次第で結果はどうにでもなるのかもしれませんが、アベノミクスで格差は広がった!、と大騒ぎする中、真逆の話をする専門家も結構いるというのは興味深いですね。
なんでも欧米と比べてしまう日本人ですが、貧富の格差に関しては、まだまだ日本はマシなのかもしれません。