競馬に興味が無い方でも、武豊と言う名前は多くの方がご存知でしょう。
今から21年前の1987年のデビュー以来、数々の新記録を打ち立てた天才騎手です。

武豊の通ってきた道は”前人未到”の新記録ばかりで、もう二度と破られる事が無いと言われるものがたくさんあります。
その中の一つに、JRA新人騎手最多勝記録と言うものがありました。

その名の通り、新人騎手としてデビューした年の最多勝記録で、1987年に彼が記録した69勝は、実に21年間、破られることがありませんでした。
ところが一昨日の土曜日、関東の新人ジョッキーである三浦皇成という騎手がついにこの大記録を破りました。

デビュー前から評判の”関東の天才騎手”で、とうとう武豊を超える騎手が出てきた訳です。
競馬の場合、走るのは馬ですから、いくら騎手として優れていたとしても、良い馬に乗せてもらえないと勝てません。

新人騎手は勝つどころか、競馬に乗せてもらうために大変な努力が必要です。
武豊の場合、父親が”名手”と呼ばれた騎手であり、競馬サークルで育った縁もあって、デビューの年からたくさんの騎乗機会に恵まれました。

ところが、この三浦皇成の場合、特に競馬界に縁があった訳ではありません。
それなのに、21年間破られる事のなかった大記録を、10月の段階であっさりと超えてしまいました。

ナゼ競馬界に大して縁の無かった彼がここまで勝てたのか。
その最大の要因は、彼の師匠である河野通文さんでしょう。

河野さんは、普通なら新人には騎乗させないような有力馬やレースでも、弟子を育てる為に積極的に三浦君を騎乗させました。
時には馬主とのいさかいもあったという噂もあるくらい、弟子を思いやり、一生懸命育てようとする調教師さんのようです。

勿論、その期待に応えて活躍する三浦君も大したもんなんですが。
最近では珍しい、暖かい師弟愛のようなものを感じますね。

ちなみに、武豊や三浦君だけが特別に環境に恵まれていた訳ではありません。
競馬の世界は二世や縁故の騎手が多く、武豊以降デビューした多くの二世騎手達が69勝も勝てなかったのは、この2人の実力の凄さを物語っています。

”縁”だけでは勝てない、シビアな実力の世界です。
長く続いた武豊の独壇場のような競馬界でしたが、来年以降楽しくなりそうですね。