年明け頃に健康保険組合等から郵送される“医療費のお知らせ”(医療費の通知書)は、大抵の場合、前年の1月から8~9月頃までの記載しかありません。
医療費控除にこの通知書が使えるようになったおかげで非常に便利なのですが、1年の残り3~4か月分の医療費については、領収書を“受診者ごと”“病院ごと”に集計した“医療費の明細書”を作成しなければなりません。
ところが実は、令和3年からスマホのマイナポータルで医療費の1年分の明細がオンラインでとれるようになっているんですね。
紙の医療費のお知らせだと年の終わりの方が尻切れトンボだったので、一年分がスカッとスマホで見れるのは非常に素晴らしいです。
が、しかし!!!
ものすご~く良いシステムなのに、非常に使い勝手が悪いです。
いや厳密に言えば、スマホ以外では“わざと”使い物にならないにしているようです。
せっかく1年分の明細がPDFでダウンロードできるのに、そのPDF書面は、上記の紙の“医療費のお知らせ”のような正式な“原本”とは違うので、あくまで参考資料にすぎないと言うんですね。
原本じゃないので、“医療費のお知らせ”のように医療費明細の一番上の欄に金額だけ記入すればOKで、領収書の保管も不要になる、といった便利なものではないと宣言しているんです。
以下マイナポータルの良くある質問のQAです。
Q.WEB画面もしくはPDFを印刷・ダウンロードした医療費通知情報を医療費控除する際の添付書類として活用できるのでしょうか。
A.
国税庁の確定医療費通知情報の原本はデータ(XML)となります。WEB画面もしくはPDFを印刷・ダウンロードしたものは原本ではありませんので、医療費控除の参考添付資料とすることはできますが、その場合、該当する医療費の領収書について、5年間の保存が必要になります。
WEB画面やPDFを印刷・ダウンロードしたものを医療費控除の参考添付資料とする場合、医療費控除の明細書の「2 医療費(上記1以外)の明細」欄に「別紙のとおり」と記載してください。この場合、上記のとおり、領収書の保存が5年間必要になります。
なお、原本である医療費通知情報データ(XML)を添付して医療費控除の明細書の「1 医療費通知に記載された事項」に記載しe-Tax送信する場合は、通知に記載されている部分の領収書を保存する必要はありません。
“別紙のとおり”と書けば良いと言っていますが、それって紙の申告を前提にした話ですよね。
電子申告するなら、別紙は追加で後から郵送させるんでしょうかね。
領収書原本を提出省略するくらいリスクとって簡素化に振り切ってるのに、公式サイト(?)からのダウンロードが原本ではないからアカンとか、あり得へん。
PDFは緩いからアカンというなら、XMLデータをダウンロードできる仕様にすれば良いだけなのに。
その機能はわざと(多分)省いて、スマホブラウザのe-Taxサイトでないとデータ取込は不可能にしています。
普段パソコンで仕事をしている税理士や、老眼でパソコン作業したい私のような人や、家族等の間でデータを授受したい人にとっては嫌がらせでしかない仕様です。
これは私の邪推ではありますが、とにかく国税庁はスマホ申告を普及させたいようです。
先日あった税務署主催の確定申告相談会でも、昨年までは数十台もあったパソコンコーナーをかなり減らして、納税者持込のスマホ申告をやたら推奨しておりました。
相談会はコストもかかるし、自分のスマホで申告出来れば翌年以降自力で出来るようになるだろう、という意図は十分理解できますが。
家のパソコンでやる人の為にせめてXLMファイルのダウンロード機能はつけるべきだと思います。