今回の税制改正では、20年以上も変っていない所得税の基礎控除額(38万円)の引き上げに踏み込むようです。
基礎控除額というのは、“所得からこの金額を差引いた残額に税金をかけます”という数字ですので、全国民に影響のある金額です。
具体的には、現行の38万円から10万円アップして48万円になるようです。(時期は再来年くらいを予定)
これだけですと全国民が減税になって大喜びですが、その一方で、
1.サラリーマンの給与所得控除を一律10万円引き下げ(基礎控除増額とプラマイゼロで結局変化無し)
2.さらに、年収800万円以上の人は給与所得控除を現行より引き下げ(単なる増税)
3.さらにさらに、年収2400万円以上の人は基礎控除まで引き下げる(単なる大増税)
ということで、国全体では1000億円くらいの増税になるようです。
“給料高い人からもっと税金獲っちゃえ!”という財務省の得意技が透けて見えますね。
この基礎控除ですが、昭和25年頃は2万5千円で、その後物価水準等に合わせて毎年細かく改訂されておりました。
しかし、昭和53~58年は29万円、昭和59~63年は33万円、と5年おき程度の改訂になり、平成1~6年35万円、平成7年以降38万円に塩漬け・・・、という歴史があります。
(平成元年に消費税が導入され、平成9年に消費税が5%にアップしたので、平成に入ってからの微増は、その辺りの事情?)
そもそもどういう基準で金額を決めたかというと、憲法で保障されている“健康で文化的な生活を営める最低レベル”が一応の理屈のようです。
かつて大蔵省の役人さんは基礎控除を決めるにあたり、平均的な日本人の食費や生活費の最低限を無理矢理算出していたようですね。
でも現行38万円の水準でいいますと、“毎月3万2千円弱で健康で文化的な生活が出来る!”、と言ってる訳で・・・。
生活保護よりはるかに低い水準に、もう笑うしかないですな。