7月の参議院選挙も近づき、なにかと話題になる子ども手当てなんですが、来年以降も満額の2万6千円の支給はほぼ不可能な情勢のようです。
2歳になる一人娘を持つ私も、あ~やっぱり2万6千円も毎月貰えるなんて夢物語だったかなあ、と改めて思っておりました。

んが、よくよく考えてみると・・・、
1万3千円のままだと、3歳までの子供をもつ家庭の場合、夢物語どころか、目先の数年間は従来より手取りが確実に減ってしまう事に気付かされました。

何故なら、子ども手当の支給の見返り(?)に、来年から所得税の扶養控除38万円と、住民税の扶養控除33万円が廃止される事が決まっているからです。
これで各家庭の年間の税金がどのくらい増えるかは、以下の通りです。

所得税の税率が5%の人(課税所得が195万円まで)の場合、増税額は、5万2千円
所得税の税率が10%の人(課税所得が330万円まで)の場合、増税額は、7万1千円
所得税の税率が20%の人(課税所得が695万円まで)の場合、増税額は、10万9千円
所得税の税率が23%の人(課税所得が900万円まで)の場合、増税額は、12万4百円
所得税の税率が33%の人(課税所得が1800万円まで)の場合、増税額は、15万8千4百円
所得税の税率が40%の人(課税所得が1800万円~)の場合、増税額は、18万5千円
(住民税は一律10%です)

で、従来から我が国には“児童手当”という制度があり、3歳までの子供がいる家庭には毎月1万円、その後も13歳になるまでは原則として毎月5千円の支給がありました。
(子供の人数により変動します)

ですから3歳までの家庭の場合、子ども手当に変わったおかげで増える手取額は月に3千円に過ぎず、年間で3万6千円の収入増ですが、上記のように増税額は最低でも年間5万2千円です。
つまり、子供が3歳になるまでの目先の3年間に限って言えば、ほぼ全ての家庭で従来の児童手当制度より手取りはマイナスになります。

では、3歳以降の15歳まで含めたトータルでの損得はどうでしょう?
これは、子供の数やそれぞれの年の所得変動によっても数字が変わりますので、さまざまなケースがあると思われます。

そこで話を単純にして、一人っ子で、旧来の“児童手当”から“子ども手当1万3千円”になった場合の大よその増加支給額を計算すると以下のようになります。
3歳までの支給増加額・・・3000円×36月=108,000円
3歳から12歳までの支給増加額・・・8000円×108月=864,000円
(従来でも13歳未満には5千円の“児童手当”の支給があったので月に8000円増加)
13歳から15歳までの“新規”支給額・・・13,000円×36月=468,000円
15歳までのトータル支給増加額・・・144万円
(誕生月によって多少の差がありますので、あくまでも概算です。)

一方で、所得税の税率20%(課税所得が330万円以上)の家庭で、15歳まで一定所得とした場合の増税額は、
10万9千円×15年=163万5千円
です。

かなりざっくりですが、課税所得が330万円以上の家庭の場合、15歳になるまでに144万円分貰う手当てが増えますが、増税額は163万円にもなり、従来の制度より負担増と言えるでしょう。
また、それ以下の所得の家庭でも、年間に直すと数万円ほどの手取り額の増加でしかありません。

昨年の衆議院選挙の際、一部の高額所得者を除き、基本的に負担増にはならないと民主党は説明しておりました。
しかし、控除はきっちり廃止する一方で、給付がこのように中途半端なままですと、中間所得者まで負担増になる上、低所得者への給付の増加も中途半端なレベルにとどまります。

“控除から給付へ”という民主党のスローガンの趣旨自体は理解出来なくはないのです。
しかし、大きなコストを伴う制度改革を中途半端にやった結果、結局前の制度と年間で数万円しか変わりません、というような悲しい結論にはしないで欲しいと思います。