来年度の税制改正へ向けてサラリーマンの増税の話を先週書きましたが、ひょっとすると年金受給者も増税になるかもしれません。
若い方は余りご存じないと思いますが、サラリーマンの給料に対する給与所得控除と似た制度で、年金収入についても“公的年金等控除”という仕組みがあります。

給料収入に対する課税と同じく、年金も収入金額に対して直接税金がかかるのではなく、公的年金等控除(65歳以上で最低120万円、収入に応じて増額)を差引いた金額が税金をかけるベースとなります。
例えば国民年金収入だけの65歳以上方の場合、年間の年金収入は満額でも年間80万円足らずですので、公的年金等控除額120万円を差引くと、年金による所得はゼロということになります。

今回議論になっているのは、年金以外にも多くの収入があるような“リッチな高齢者”について、この公的年金等控除額を減額しようというもののようです。
上記のような年金収入だけの高齢者は今回の減額検討の対象外かもしれませんが、投票率の高い高齢者への増税は与党の苦手分野ですので、どこまで切り込めるのか興味深いですね。

ただ、サラリーマンの概算経費という性質である給与所得控除と、公的年金等控除はその意味合いが異なるように思います。
何より、年金は自分が長年積み立てたお金を老後に返して貰う意味合いが強いものですから、そこに税金をかけるのはそもそも厳しい話です。

銀行に積立預金していたお金を老後に引き出したら税金かかった!、なんて話ありえませんよね。
モチロン年金は積立預金とは異なりますが、いくら“お金持ってる高齢者だけから獲るんだ!”と言い訳したところで、ますます年金制度への不信感が強まりそうで心配です。