11月に入って、早くも年末調整関係の書類が税務署より届けられています。
今年の年末調整の大きな話題は、配偶者控除(配偶者特別控除も含む)の制度が変わる事です。

制度が実際に動き出すのは年が明けた平成30年からですが、共働きのサラリーマン家庭にとっては大きな改正の為、現時点でも皆様関心があるようです。
改正内容は以下のようなアメ(減税になる人300万人)とムチ(増税になる人100万人)を上手に使ったものになっています。

アメ(減税)・・・配偶者控除が適用可能なのは、その配偶者の給与年収103万円が上限でしたが、これを150万円に緩和。
ムチ(増税)・・・給料の多い人は配偶者控除そのものを廃止又は減額。(年収1220万円超の人は廃止、1220万円~1120万円の人は減額。)

毎月のパート収入でいいますと、月に8万5千円余りを超えるとダメだったものが、月に12万5千円までならOKになったという事ですね。
この改正で、従来よく言われておりました“103万円の壁”が“150万円の壁”になった訳です。

ただ注意しないといけないのは、この税金の世界における103万円と150万円の壁の間に、社会保険の“130万円の壁”があることです。
社会保険(健康保険)の世界では、同居している家族の年収が130万円未満の場合(一部の場合は106万円未満)、世帯主(被保険者)に養われている家族(被扶養者)という位置づけになります。
(ただし、その家族の年収が世帯主年収の半分未満の場合に限る。)

夫がサラリーマンで会社の社会保険に入っている場合、妻がその被扶養者になれれば、妻は一円も社会保険を支払う事なく基礎年金まで貰えるという非常にお得な制度になっています。
夫の負担も独身の場合と変らないという、かなりナゾな制度です・・・。

もし年収130万円以上になって夫の被扶養者を外れてしまいますと、我が国は国民皆保険制度ですので、自分自身で何らかの社会保険に入る必要があります。
年収や加入する社会保険にもよりますが、自分で入るとなりますと数十万円のレベルで負担増になる可能性があります。
(負担額の具体例等は過去のブログご参考。)

ややこしい話ですが、税金と社会保険では“養われていると言える収入”に違いがありますので、パート収入が100万円~150万円付近になりそうな場合は十分な検討が必要ですね。