以前にも少し書きましたが、今、国税庁では電子申告の普及の為に”大キャンペーン?”をしております。
確定申告等で税務署を訪れた方々は、”e-TAX”と書かれたポスターを何枚も御覧になったのではないでしょうか。

税理士に対しても、電子申告の普及に協力してくださいという話が出てきます。
そこで取り敢えず、自分自身の確定申告を電子申告でやってみました。

さすがに、お客様の申告をするにはまだいろいろと不安もありますので、まずは税理士自ら”実験台”になってみた訳です。
で、率直な感想。

意外と、便利かも。
ただし!!!税理士にとっては・・・、かな・・・。

やはり一般の方々にとっては、導入までの手続きの面倒くささがネックになりそうです。
今年の1月の法律改正により、税理士に頼んで電子申告をしてもらう場合は、本人の電子認証用ICカードは不要になりました。

しかしながら、自分自身で電子申告を行う場合には、依然として事前に面倒な手続きが必要です。
また今回実際にデータ送信まで行ってみると、ICカードでの電子認証という作業自体にかなり戸惑います。

パソコンに”ICカードを読み込ます”という作業は、一般の人にとってはほとんど経験のない事でしょう。
私と同様、”これでちゃんと認証出来てるの???”って思いが何度も頭をよぎるかもしれません。

どうもこの電子申告のシステムを考えた方は、セキュリティーや安全性を重視しすぎたように思います。
勿論、国が作り上げるシステムですから、個人情報の保護を始め、安全性や堅牢性を優先するのは当然でしょう。

しかしながら、リスク回避に重点を置きすぎた感が否めません。
例えば、従来の確定申告では、申告書の提出の際にわざわざ本人確認なんてしません。

申告書類を郵送で提出する事だって、当たり前のように行われています。
郵送だと、本人確認どころか、どこから誰が送ってきたか分かりません。

押印する印鑑だって、実印じゃなく三文判でOKです。
ところが、電子申告になったとたん、本人確認の為の電子認証用のICカードや、リーダーライターまでお金をかけて準備しなければなりません。

開始届けを税務署に提出したり、e-TAXソフトのインストールもしなければなりません。
便利になるハズの電子申告で、手続きが余計に複雑化してては普及は難しいでしょう。

ネットバンキングでは、IDとパスワードでお金が動かせる時代です。
クレジットカードの番号だけでネット上の買い物が出来る時代でもあります。

セキュリティと効率化のバランスを上手くとって、誰にとっても使いやすい電子申告になる事を祈ります。