今年の1月4日から、電子申告の際に必要な電子証明の要件が緩和されました。
と言っても、一般のほとんどの方々にとっては、電子申告???電子証明???は?何のこっちゃ?って感じかもしれません。

小泉総理の時代から”電子政府”と銘打って、さまざまな行政手続きが電子化されています。
法人税や所得税といった税金の申告や各種届出といったものも、順次ネット経由で行えるようになってきました。

これが電子申告やE-TAXと呼ばれているものです。
従来大きなネックだったのが、電子申告をする際は、本人確認の為に事前に電子証明を取っておかないといけなかった点です。

電子証明とは、インターネット上での本人確認の為の免許証のような物です。
具体的に言えば、身分証明となるICカードと、そのカードをパソコンで読み込むためのカードリーダーを買っておかないといけなかったのです。

ICカードにもいくつか種類がありますが、大抵取得するのに数週間かかります。
さらに1万円近いカードリーダーを買って、いくつか設定をしなければいけません。

電子申告って便利そうだからやってみようと思っても、準備してるうちに期限が過ぎてしまいそうですよね。
今回の改正で、税理士が本人(税金の申告をしたい人)に代わって税金の申告等する場合には、税理士の電子証明だけでOKとなったんです。

逆に言うと、今までは税理士が本人に代わって申告する場合ですら、本人と税理士の両方の電子証明を要求されてた訳です。
いやいや、税理士って信用されて無いというか、何というか・・・。

何はともあれ、面倒な手続きが少なくなるのは納税者にとっては喜ばしいことです。
ただ、今回の改正のおかげで、顧問税理士がいる事業者の方はすぐに電子申告出来るかというと、そうではないんですね。

事業者本人の電子証明は不要になったんですが、事前に税務署に電子申告の開始届けを提出して、税務署から送ってくるソフトを本人のパソコンにインストールして、暗証番号の変更等を事前にしておかなければなりません。
元々顧問税理士のいる事業者の方は、申告や届出は税理士に任せてるのがほとんどでしょうから、何を今更面倒な作業を自分自身でする必要があんねん!って感じかもしれませんね。

電子申告すると、最初の1,2年は5千円程度の税額控除をするというような案もあるようですが、納税者が ”面倒くさい” 電子申告をやりたくなるような減税策等を検討して欲しいものです。
また、顧問税理士のいない事業者の方の利便性も検討すべきでしょう。

電子申告自体は、国民の利便性を高めるものなので大歓迎なのですが、その仕組みづくりは前途多難の様相が続きそうです。
利便性の向上とセキュリティーの確保を両立させるのは難しいでしょうが、なんとかうまく進めて欲しいですね。