一般の方でも知っておられると思いますが、銀行預金の情報は、ほぼ税務署へ筒抜けです。
勿論なんでもかんでも筒抜けという話ではなく、税務調査等の場面で必要と認める場合に、きちんと法律に基づき税務署が銀行へ対象者の預金情報の照会を行い、銀行はそれに応える形で税務署へ預金情報を回答する、といった手続きや手順は必要です。

ただ銀行としては、税務署に聞かれたら原則として回答する義務があるので、まあ現実的には筒抜けみたいなもんですね。
この預金情報の照会や回答の一連の流れが、今年の10月から全国でデジタル化されるようです。

昨年の暮れに一部の銀行と一部の国税局が実証実験を行ったところ、従来紙のアナログ処理で平均11.3日もかかっていたものが2.5日に短縮され、その後の処理も効率化されたので全国展開するとか。
いや、実証実験なんかせんでも、今どきオンライン処理のほうが早いしエエに決まってるやんって話ですが、オンライン処理に“2.5日も”かかる理由が逆にナゾです。

恐らく事務処理としては数秒の話でしょうが、銀行内部で“回答した場合に預金者から怒られない為の責任回避の手続き”が2.5日ほどかかるんでしょうね。
私が銀行にいた25年前は、プラスティックの薄いフィルムに物理的に記録された預金情報を専用の機械で紙にプリントアウトし、対象者の預金情報の部分のみハサミで切りとって紙に貼って税務署の人に渡してましたので、本当に隔世の感があります。
(フィルムには口座番号ごとにずらっと預金情報が並んでいるので、対象口座番号の部分だけ渡すためには手作業で切り貼りが必要でした。)

貴重な預金情報がオンラインでサクサク税務署へ流れると思うとなんだかイヤな気分かもしれませんが、そもそも普通に真面目に生きていれば税務署から照会かけられる事も無いはずですし、もし税務署に見られても痛くもかゆくもないはずです。
むしろ、隠し財産作って脱税している悪いヤツをどんどん素早く摘発できるので、個人的にはポジティブに捉えたい進化です。