来年度で廃止されるのでは!?と言われていた配偶者控除ですが、結局廃止されないようです。
廃止どころか、対象者の給与収入上限を103万円から150万円へ拡大するという真逆の結論になりそうで、驚くほかないです・・・。

では、この改正でパートの方々が年収150万円までは気にせず働くようになるのでしょうか?
現実は、次の区切りである社会保険の130万円のカベで止まる気がします。

何故なら、この辺りの収入ですと、税金よりも遥に社会保険料の負担のほうが大きい為です。

例えば年収129万円のパートさんで、配偶者がサラリーマンの方の場合、配偶者の被扶養者になれますので、社会保険料の負担はゼロです。
これが年収130万円になって配偶者の社会保険の被扶養者から外れてしまうと、自分で単独で社会保険に入る必要が出ます。

社会保険に自分で加入するとなると、どのくらいの負担になるのでしょうか?
40歳以上のパートさんのケースで試算しますと、

パート勤務先の社会保険に入れれば、年収130万円に対して年20万円弱の社会保険料がかかります。
(勤務先の社会保険制度や住所、年齢等で若干違います。)
勤務先の社会保険に加入できない場合は国民年金と国民健康保険になり、国民年金だけで年195,120円、健康保険は112,000円(西宮市の場合)で、合計30万円前後の社会保険料の負担になります。
(所得や扶養の状況等で各種の減免制度がありますので、実際の負担額は市町村へご確認ください)

このように130万円のカベを超えると、年間数十万円の社会保険料を自分で負担しなければならない可能性があります。
モチロン長い目で見れば、勤務先の社会保険に加入したおかげで老後に貰える年金が少し増えるかもしれません。

ただ、目先の手取りは確実に減少します。
いずれ正社員としてバリバリ働きたいと言うパートさんにとっては通過点かもしれませんが、空いた時間に働いて余裕有る生活をしたいというレベルの人にとっては、この130万円のカベは余りにも大きいんですね。
(28年10月から、従業員数501人以上の会社のパートさんで一定の場合は、130万円のカベが106万円に引き下げられています。)

今回話題の“税金”の配偶者控除の適用の有無による差は、住民税を考慮しても5~7万円(国税庁発表平均給与収入520万円としての概算)程度の負担増加の話で、上記の社会保険料に比べれば遥に小さな額です。
(年収が物凄く高い人は最高で20万円くらいの差になる場合があります。)

“税と社会保障の一体改革”とはよく言ったものです。
税制だけではなく、年金や健康保険、高齢者や障害者の福祉、若者への支援、全てまとめて考えないと、せっかく時間をかけて議論しても、別の面から見れば対して効果が無いという話になりかねませんね。