ZOZOTOWN創業者である前澤友作氏の資産管理会社が、東京国税局から4億円の申告漏れを指摘されたという報道がありました。
こういった“申告漏れ”という報道があると、“脱税して悪い奴や!”というニュアンスを抱く方が多いと思います。

しかし実際のところ“申告漏れ”と言っても、会社の経費等で税務判断が微妙なグレーゾーンで、税務署と“見解の相違”があったケースが多く、思いっきり脱税意図の悪質な場合は少ないです。
今回の報道を見た際も、何か会社の微妙な税務処理について“国税と争っても仕方ないか”と、“妥協して”修正申告したのかな、位に思っておりました。

ところが記事の中身を読むと、残念ながら、一般的によくある会社の申告漏れではなく、思いっきり個人(前澤氏の交際相手)の税金を安くするためだけの特殊なスキームで、国税から“いくらなんでもやり過ぎや!”と怒られたようです。
報道によると、前澤氏が知人(交際相手)へ2億円(?)ものお金を渡す(子供の養育費らしい)にあたって、そのまま渡すと最高55%の税率で贈与税がかかるので、トンネル会社を使って、会社からその知人に2億円の利息を支払った形をとって20%の税率で済まそうとしたようです。
(利息だと20%の税率で済む点を利用した節税スキームです)

このスキーム自体は、結構古くからあった“私募債節税”を“一ひねり”したような形で、表面上はルールにのっとってお金が流れています。
ただ今回の場合、金額が大きかったのと有名人ということもあって、国税サイドは“同族会社の行為計算否認規定”という伝家の宝刀規定を適用して申告漏れを指摘したようです。
(税金安くするためだけの不合理な行為は許さん!という、ある意味、国税サイドが無敵になる特殊な規定)

この件に関し、前澤さんは以下のコメントを発表しております。

「この度は申し訳ありませんでした。
私は納税義務から逃げも隠れもしません。
これからもこの大好きな日本で暮らし、社会の一員として責任をしっかり果たしていきます。」

うーん、ちょっと残念な言い訳に聞こえる・・・。
“納税義務から逃げも隠れもしません”って、そもそも完全に納税義務から逃げるためだけのスキームやし・・・。
前澤さん結構好きだったんですけどねえ。

10年以上前だと思いますが、ZOZOの新入社員さんに向けて話している動画を見て、なんか凄い人やなあって感動したのが最初で。
動画の話なんて口だけの綺麗ごとやろ、と思っていたら、従業員の賃金には原則差をつけないとか、6時間労働とか、本当にZOZOで実践してたみたいだし。

うまくいかなかったけど、オンライン完結でオーダーメイドに仕立てようとしたZOZOスーツとか夢があったし。
ちょっと詐欺師っぽいけど、実はめっちゃエエ人や!と信じてたんですけどねえ。

恐らく、コンサル会社の人達にのせられて、“この方法で税金安くなりますから”、“合法ですから”、と言われたのだろうけど。
明らかに意味不明なお金の流れで、“税金から逃げ隠れする為”だけの特殊な方法である事は、頭の良い前澤さんも最初から理解していたはず。

前澤さんの資産状況からすれば、
4億円をポンと交際相手に渡して、
半分は贈与税で持っていかれるけど、足りなければまたあげるよ、
って言うくらいのイメージだったけどなあ。
いやあ、いろいろ残念なお話です。

が、最後に1点。
前澤さんのその後の以下のコメントには1票。

「本来、納税に関する情報は極めて秘匿性の高い個人情報であり、メディアに漏れることがあってはなりません。
今回、どのような経緯で読売新聞社が情報を得たのかは不明ですが、国税当局をはじめ関係者の皆様には改めて厳格な情報管理をお願いします。」

国税が個人情報を含む税務調査の内容をメディアにリークするのは大問題。
今回のリークは見せしめの意味合いでわざと新聞社に伝えた気がするので、そのやり口については国税も批判されるべき。