再来年の平成29年4月から、消費税が10%に引き上げられます。
庶民にとっては益々きつい話なんで、食料品などの生活必需品は現状維持の8%とする、いわゆる複数税率による消費税引き上げが検討されてきました。

しかし、以前にこのブログでも書いたように、複数税率の理念は美しくて良い一方、実際の導入にはいろいろと問題点が多いのも実情です
導入しているヨーロッパの国々でも、実は結構後悔しているという話があるそうです。
(税理士会の研修による噂話ですが)

そんな中、今週、財務省の複数税率導入に向けての原案が明らかになりました。

それは、
1.軽減税率は食料品に限定
2.実際の商品の購入の際は、他の商品と同様10%の消費税を一旦支払う
3.購入の際にマイナンバーカードを機械(レジ?)に通して食料品の消費税2%分だけ記録し、国のデータセンター(?)でデータ集計保管
4.一定の消費税が貯まったら現金で口座に振込還付
という流れのようです。

簡単に言えば、楽天カードやTカードのポイントのように、食料品を買う際にマイナンバーカードを提示すれば2%ずつポイントが貯まり、あとからまとめてキャッシュバック!、みたいなもんですね。
一律10%で取っておいて、後から国が還付する、という方法論は以前から言われておりましたが、まさかマイナンバーカードを使ってキャッシュバックするなんて、非常にビックリ仰天です。

ある意味斬新というか、大胆というか、無謀と言うか。
でも、こんなこと、本当に出来るんかいな?って思いません???

日本全国の食料品を売るお店全てにマイナンバーを読み取る機械を設置してデータを国に電送するなんて、物理的に可能なんでしょうか。
未だに天井から下げたザルに現金入れて商売してる八百屋さんや魚屋さんなんて、田舎行けば一杯有りますけど、どうやってカード読み取るんですか???

カードの読み取り機やインターネットのインフラ費用を、国が面倒みてくれるんですかね?
読み取り機は初期費用だけで済むけど、ネットインフラの場合、ランニングコストが永久にかかるのに、誰が負担するの?

お利口さんの財務省の官僚が作った原案にしては、エライ実現性に乏しい気がしたんですが、よくよく読んでみると、要は、厳密に食料品すべて8%適用をやる気は最初からないんでしょうね。
ポイントは、このキャッシュバックに年間一人当たり4千円という上限を設けるというところです。

本来の複数税率なら、購入した食料品の2%分はすべて還付するのがスジですが、上限があります。
例えば毎日豪勢な食事をして1人で食費が月10万円かかると、消費税2%分でも年に2万4千円くらいになりますが、還付金は4千円しか返してもらえません。

全ての食料品の税率を8%適用にするという趣旨ではなく、ざっくり一般的に必要な食料品の購入分の税金の2%くらいは返します、っていうレベルの話です。
ですから、そんなにきちんと計算やる気も必要も無いんで、世の中の全ての食料品店にカード読み取り機がなくても、まあ良いかって話なんでしょう。

でもねえ、それなら最初っからこんなにコストや手間がかかる事しないで、一人当たり一律4千円還付で良いんじゃないの?
おそらくほとんどの国民は、年間4千円の為にこんな面倒くさい仕組やってられるか!、って思う気がするんですけどねえ。

まあ、お利口さんの財務省の官僚ですので、“面倒くさいから4千円くらいもうエエわ!”と国民に思われるように敢えて考え出した仕組みなのかもしれませんけど・・・。
ちなみに、食費の2%で年間4千円というと、食費自体は年間20万円、月に1万7千円弱という数字です。

4人家族にひきなおせば月の食費が6~7万円って感じですので、まあそんなもんですかねえ。
ただ外食の多い家庭だともっとかかるでしょうし、独身や子供がいないと割高なんで、微妙なとこですね。
さすが財務省のお利口さんな官僚・・・。