アメリカ連邦準備理事会(FRB)が8日の早朝、大手金融機関19社の健全性を調べる資産査定(ストレステスト)の結果を公表しました。
景気が悪化した場合、シティグループ、バンク・オブ・アメリカなど10社が2010年末に資本不足に陥る恐れがあり、不足額は計746億ドル(7兆4000億円)に上るとしています。

7兆円も資本が足りないと聞くと、“こりゃエライこっちゃ!!!”と思うかもしれませんが、少なくとも現時点で債務超過に陥っているほどヒドイ状況の銀行は無いし、金額も思ったほどでは無いというのが市場の見方のようです。
また、数日前からこの結果に関してはかなり情報が漏れており、“あ~、やっぱそんな感じ”といった、FRBの思惑通り(?)の軟着陸といったところでしょうか。

問題はこの検査自体の正確さや妥当性ですが、正直何とも言えませんね。
銀行の資産査定と言うのは、要するに“貸したお金が将来きちんと返ってくるかどうか”を“予想(査定)”する作業です。

私が銀行に在職した当時も、三年に一度は日銀と大蔵省の検査(要は資産査定)があり、いろいろな資料を基に融資の健全性を判断しておりましたが、実際に融資がどうなるかの判断はかなり難しいものがあります。
よく“企業は生き物”と言われますが、一年で180度状況が変わるなどと言う事はザラにありますので。

前期に過去最高の売上高と利益を計上したトヨタ自動車が、今期は過去最大の赤字になりそうなのは良い例ですね。
しかも100年に一度と言われるほどの現在の経済危機の下では、2010年末がどうなっているかなど誰にも分からないと言うのが本音ではないでしょうか。

今回のストレステストが甘すぎると言う経済学者もいますが、当事者の金融機関にしてみれば厳しすぎるとぼやいているかもしれません。
ただ、少なくとも7兆円以上の資本増強を金融機関に“強要”してますし、“ホンマにこの銀行大丈夫なん?”という疑心暗鬼はある程度解消されたように感じます。

景気動向は、一般消費者の心理的要因が相当大きな部分を占めると個人的には思っておりますので、これを機会に景気下落に歯止めがかかって欲しいと切に願います。