コロナ対策として支給されている持続化給付金(会社200万円、個人事業主100万円)の不正受給のニュースが続々と上がっています。
このブログでも、“ここまで思い切って申請手続を簡素化した給付金は見たことない!”、“この緊急時に思い切った経産省凄い!”、と褒め称えていたものの・・・、

いくらなんでも審査がザル過ぎたんじゃないの???、という感じです。
では、どのくらいザルか、ちょっと見てみます。

本日現在、経済産業省のサイトでは、10月12日までにこれだけ給付したで~!、と自慢げに数字を出しています。
・給付件数・・・354万件
・給付金額・・・4.6兆円

昔習った鶴亀算でざっくり算数すると分かりますが、354万件、4.6兆円、法人200万円、個人100万円、とすると、354万件のうち法人は106万件、個人は248万件です。
勿論全員が満額支給ではないので、あくまでざっくりですが、個人事業主への支給件数が既に250万件近くあると思われます。

個人事業主の全人数の明確なデータはないのですが、国税庁発表の平成30年の所得税申告の調査結果では、事業所得者数は168万人です。

個人の場合、赤字であれば申告しなくても良いので、実際の個人事業者数はもう少し多いでしょうが、会社と違って“本人給料”という経費の無い個人事業主は最終赤字にはなりにくいので、申告しないで良い人は“本来”そう多くはないはずです。
またこの給付金は雑所得に分類されるフリーランスの個人も対象ですが、この国税庁データの雑所得者数72万人から雑所得者のほとんどである年金受給者数65万人をさしひくと、申告しているフリーランスの方は7万人程度かと思われます。
(年金受給者のほとんどは申告不要なので、“申告した”年金受給者数が65万人という話)

複数の種類の所得を得ている人も多いのでこれらの数字は正確ではありませんが、“ちゃんと確定申告している”個人事業主とフリーランスは合わせてもせいぜい200万人程度が実態かと思います。
(他の省庁データや民間の調査でも概ねこのくらいの件数です)
とすると、個人事業主等の分母が200万件しかないのに、既に250万件支給って・・・、どう考えてもおかしいやん!!!
(ちなみに全法人数は、国税庁データでは約280万社です)

いくら申請を簡素化すると言っても、“一昨年の確定申告書を原則添付”、とするだけでも、学生や主婦の“突然個人事業主になっちゃった人”のダミー申請は簡単に防げたはずなんですがねえ。
本当に昨年新規開業した人や一昨年の確定申告が期限遅れの人については、特別に窓口対応にすれば良いだけですし。

いやあ、経産省の人凄い!、って書いてた自分が恥ずかしいです。
手のひら返しと言われる批判は重々承知で改めて書きますが、経産省、ザル過ぎる・・・。