相続税は、“3000万円+600万円×法定相続人の人数”、までは税金がかかりません。
子供がたくさんいればいるほど、相続税がかからなかったり、かかっても税金が安くなったりする仕組みです。

この法定相続人の人数には、養子の人数も含まれます。
そこで、資産家の高齢者の方が孫などを養子に迎えることによって、法定相続人の数を増やすという節税方法が昔からとられておりました。
(ただし加算できる養子の人数は最高で2人まで、実子がいる場合は1人だけです)

ところがある事例で、“節税の為だけの養子縁組は無効!”、という東京高等裁判所の判決がでてしまい、税理士業界としては大いに慌てました。
え!!!、今まで思いっきりやってますけど!!!って感じでしょうね。

この高裁判決を不服として最高裁へ上告していたのですが、最高裁は、
“専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても「当事者間に縁組をする意思がな いとき」には当たらない”
と逆転判決を先週出しました。
いやあ、税理士業界は一安心です・・・。

この裁判、てっきり税務署が納税者を訴えていたのかと思いきや、実は身内の相続争いだったようです。
つまり、

不当に税金を安くしてけしからん!!!、と税務署が怒ったのではなく、
あの甥っ子や兄に財産をあげるのは納得できない!!!、と妹が身内相手に裁判をおこしたんですね。

相続対策で大切な事は、相続税を安くする事ではなく、遺産分割で揉めないようにする事なんだなあ、と改めて思う事案です。