この一週間、コインチェック社から580億円相当もの仮想通貨が不正に引き出された話題で持ちきりです。
コインチェック社が総額460億円の補償金を日本円で支払うと発表した事で、“補償金貰ったら税金かかるんちゃうのん?!”、という別角度の話も出てきており、個人的にちょっと気になります。

補償金の課税関係に関しては、既にいろんなサイト等で専門家の方の見解もでておりますが、国税庁の報道担当の方が、
“現時点では方針を決めることができない”
と言っておられるそうで、それが現時点での妥当な判断かと思います。

いわゆる損害賠償金に関しては、所得税法9条(所得税法施行令30条)で非課税になる旨が法律で規定されております。
以下の国税庁のタックスアンサーでも紹介されているとおりです。
タックスアンサー№1700

ただ、どこまでが損害賠償金に該当するのかは、事案ごとに非常に微妙な話です。
実際過去の事件や事故でも、賠償金の取り扱いについて国税サイドともめて裁判にまでなっている例も結構あります。

例えばライブドア事件で、粉飾決算により株価が暴落して損害を受けた株主が、ライブドア側から総額90億円の賠償金を受取ったケース。
国税当局は当初、“一時所得”として課税しており、“非課税である!”という株主と争って裁判になり、結局株主側が勝訴して非課税になりました。

今回の事件とは中身が違いますが、要するに、賠償金の非課税判断に関しては、国税相手の裁判になるほど判断が難しいという事です。
損害賠償がらみの揉め事で、“解決金”、“和解金”、といった“中身の分かりにくい文言”を弁護士さんが敢えて使う(?)のは、その辺の事情をよくご承知だからかも・・・。

まあ今回のケースでいえば、わざわざ日本円で補償金を渡すのではなく、該当の仮想通貨で補償すれば誰も悩まないで済むんですけどね。
それにしても、設立数年のベンチャー企業が、ぽんとキャッシュで460億円も払えるって、どんだけ会社儲かってるの!!!って思います。

取り扱う会社だけではなく、仮想通貨で億単位で儲かった人の事を“億り人”などというそうですが、羨ましいやら、怖いやら。
不動産や株が倍々ゲームで高騰し、“買わなきゃ損!”とみんなが思ったバブル時代を彷彿とさせますので、あの頃のように“借金してでも買え!”にはならぬ事を祈ります。