2021年3月から、マイナンバーカードが健康保険証として使えるようになります(予定)。
ただ保険証の替わりになると、病院の受付等でいきなりカードを手渡しちゃっていいの?セキュリティはどうするの?と思っておりました。

なぜなら今まで、税務業務におけるマイナンバーの取扱いに関しては、セキュリティー面で極めて厳重な取り扱いを国から強制(!)されてましたので。
例えば会社で従業員のマイナンバーを取扱う場合、“処理する人間を限定したうえで、作業は壁等で仕切ったスペースで行い他の従業員から番号が見えないようにしろ!”くらいのレベルです。

カードの利便性を向上させるのは大歓迎ですが、今までの厳重すぎるほどの取扱いと180度方向転換するのはいかがなものか?と思っていたら・・・、
なんと、“顔認証システム”を導入して、マイナンバーカード自体は病院側に渡さないようにするようです。

具体的には、病院の窓口にマイナンバーカードの読み取り機器を置き、その機器にカメラ付きの顔認証システムを組み込むとか。
その機器での顔認証の作業はすべて患者さん本人が行い、カード自体を病院側に渡すことなく処理するようです。

これはなかなか凄いですね。
いまやスマホの顔認証ログインが当たり前になっていますので、セキュリティ面もそこそこいけそうです。

ただ問題は、マイナンバーカードを患者さんが保険証のように気楽に持ち歩けるか?、というところです。
国が今までセキュリティをうるさく言い過ぎたおかげで、“マイナンバーを他人に知られると全財産を失う”くらいの認識の人もおられます。

“カードを万が一落としたら大変”という感覚からすれば、財布に入れて持ち歩くのは結構ハードルが高そうです。
そういう意味では、そもそもマイナンバーなんて、役所が税金等の事務処理をするための本人確認番号で、その番号自体に財産的価値や大きなリスクは存在しない、という認識を布教(?)することが重要に思います。

本来は病院の窓口で普通に渡してもいい保険証と同じくらいのレベルのカードなのに、まるで現金100万円の札束みたいなイメージになっちゃってるのを逆方向に啓蒙すべきではないでしょうか。
初めて行ったレンタルビデオ屋さんの窓口で、本人確認のために免許証渡すのと同じくらいの感覚とでも言いますか。

免許証の番号を他人にちらっと見られたって、大して気にも留めませんよね。
そりゃ免許証の番号等で他人になりすまして詐欺を働いて悪いことをする犯罪者もいますので、完全にセキュリティを無視するわけにはいきませんが、要はそのレベルという話。

免許証を落としたり年金手帳を落とすと何かと面倒ですし、個人情報の漏れは当然気になりますが、マイナンバーカードを落とすのもそのレベルと同様という話。
車を運転する人は財布に免許証をいれっぱなしの場合も多いと思いますが、そのレベルで持ち歩いて平気という話。

将来、マイナンバーカードに免許証を合体させる話もありますが、マイナンバーカードの取扱いは、そもそも免許証と同じレベルのセキュリティで良かったのではと思います。
(モチロン、業務等で他人様の免許証を取扱う場合も、それ相応のセキュリティーと個人情報保護の認識は必要です)

あと気になるのは、導入コストですね。
全国津々浦々の病院や小さな診療所すべてに顔認証システムを導入するとなると、誰がその費用を負担するねん!って思わずにはいられません。

今回の保険証だけではなく、将来国民にとって有用な運用方法を採用しようとするたびに、こういったセキュリティコストを生み続けていきそうで不安です。
それもこれも、マイナンバー導入の際に過剰にリスクをあおり過ぎたおかげではないでしょうか・・・。