最近の新聞報道によると、“残業代ゼロ法案”なるものが政府の産業競争力会議で検討されているそうです。
サラリーマンが一日8時間以上働く場合、いわゆる残業代を支払わなければならないことが法律で決まっています。

今では当たり前すぎる話ですが、これを“一定の場合”には、“何時間残業しても残業代を払わなくても良いようにする!”という、どエライ法律を作りたいようです。

で、労働法に係わる話なんで厚生労働省が登場するのですが、厚生労働省の当初案では、“年収1千万円以上の高収入の専門職に限る”、という話だったようです。
まあ年収1千万円以上も貰ってたら、残業代なんてケチくさい話は良いかってレベルかもしれません。

しかし、経済産業省や経済界はそれでは納得しないようで、“本人の同意と労使合意さえあれば、新入社員でさえも残業代無しでいくらでも働かせられる”ように法律を作りたいようです。
これは完全に雇う側の立場の人の意見で進められているんでしょうね。

で、実際の所、年収1千万円以上貰っている人ってどのくらいいるんでしょう?
国税庁が毎年発表している民間給与実態統計調査というものによると、一年間継続して働いた給与所得者は、平成24年で4556万人ほどです。

このうち年収1千万円を超えるのは、約172万人で3.8%しかいません。
一年継続して勤務していない人も含めた給与所得者数は5400万人にのぼりますので、全労働者でみると30人に1人にも満たないレベルかもしれません。

そうなると、この程度の少ない人の残業代をケチったところで(?)、会社の経営への影響はたいした事ないじゃんって話になるのかもしれませんね。
厚生労働省(労働者側?)と経済産業省(経営者側?)のせめぎあいみたいになっていますが、さて今後どうなるか興味深いです。