医療費控除と言えば、一年分の領収書をごっそり袋に入れて税務署へ提出するのが常でした(?)が、昨年からその手続きが大きく変わりました。
基本的に領収書の原本は提出不要となり(手元で5年間保管)、病院ごとにかかった費用を集計した一定の明細書を作成して提出すればOKになりました。
(2019年分までは、旧来の方法も認められます)

領収書の原本を出さなくても良いなんて!ウソつく人もいるやん?!、と驚かれますが、毎年国民から提出される医療費の領収書の量は膨大で、その管理や保管コストが余りにも大きく、苦渋の決断だったと思われます。
要するに、脱税リスクよりも徴税コストを優先した形でしょうか。

さらに大盤振る舞い(?)な事に、健康保険組合等から送られてくる“医療費の通知書”という資料を申告書に添付すれば、その通知書に記載された医療費については明細書を作成する必要すら無く、その部分の領収書に関しては原本の保管まで必要なくなっております。
詳しくは国税庁サイトをご参照ください。

まだ昨年始まったばかりの仕組みですので、平成29年分の確定申告でこの“医療費の通知書”を実際に使ったケースは少なかったようですが、今後は増えてくると思います。
健康保険組合によって異なりますが、この“通知書”には概ね9月から10月頃までの医療費が既に集計されておりますので、その分の集計や記載が省略できる上、該当分の領収書の5年保管まで免除されるのですから。

ただ、この“医療費の通知書”を利用する場合は、少し意外な注意点があります。
それは、“電子申告であっても”、通知書の原本を税務署へ提出する必要があるという事です。

実は電子申告の場合、以前から領収書原本の提出は不要で、医療費の明細のデータ入力だけでOKだったんです。
普通に考えれば、“領収書代わり”のこの通知書も明細で入力すれば提出不要かと思いきや、これは何故か別途原本提出が必要になりました。

今回の医療費控除の制度改正は、“原本は国民が手元で保管する”事が最も大きな目的のはずなのに、今までネット送信だけで医療費控除が完了していた電子申告に関しては、何故か時代を逆戻りしてわざわざ紙の原本を別途提出するスタイルになってしまいました。
余りにも不思議な仕組みなので、法律を調べたり税務署の人にも直接聞きましたが、それで間違いないようです。

恐らく近い将来、“電子申告すれば添付省略が可能な書類”にこの“医療費の通知書”が追加され、大きな矛盾は解消されると思いますが、当面は電子申告を行ったうえで、紙の書類を別途郵送等する必要がありますね。