いよいよ10月からインボイス制度が開始されます。
直前になってようやく世の中の関心も集まっているようですが、実際のところ、一般の人にはほとんど関係のない制度です。

一部のメディアでは“また岸田首相の増税だ!”と言っていますが、最終消費者の支払う金額が増えるようなケースはかなり少ないと思われ、例えばスーパーのモノの値段などはほとんど変わらないでしょう。
税金の負担増に苦しむのは国民ではなく、今まで消費税の納税を免除されていた売上高1千万円未満の小規模事業者の方々だけだと思われます。
(事務負担は全ての事業者が相当増えるので、そこは制度を簡素化して欲しいと切に願いますが)

例えばスーパーが880円(消費税80円)で仕入れた商品を1,100円(消費税100円)で売る場合を考えてみます。
今までスーパーが税務署に納める消費税は、売上消費税100円-仕入消費税80円=20円でした。

10月からは、もし仕入先から貰う領収書がインボイスでない場合、スーパーは100円-0円=100円の消費税を納めなければならず、スーパーの負担が80円増えてしまいます。
(緩和措置等もあって実際の税金の算数はもっと複雑です)

スーパーにしてみれば80円負担が増えますが、そもそも仕入先がインボイスを発行してくれれば生じない負担ですから、その80円の負担を仕入先へ求めるのが当たり前です。
その増える80円分を販売価格へ転嫁して商品の値段を1,180円に値上げするなんて、通常はあり得ないでしょう。

別の側面から見ますと、国民が1,100円で買って負担した100円の消費税の内、20円はスーパーが税務署に払っているけど、残りの80円は納税されないで免除されてしまっていた訳で、国民が払っていた消費税100円のうち80円分は国庫に入らず、国民が損をしているのが今までの消費税制度です。
“損をしている”は言い過ぎですが、小規模な免税事業者を助けていたのは、実は最終消費者である国民でしたというのが本質ですね。

そもそもこの国では、商売として物品の売買等を行うと全て消費税がかかるのが法律で決まっています。
物品の売買等をした場合には、販売価格に消費税を記載するしないにかかわらず、小規模だろうが何だろうが消費税というものがかかる仕組みです。

そして原則、売った価格の消費税から、仕入れや経費にかかった価格の消費税を差し引いて、税務署に消費税を納める義務があります。
小規模であるがゆえに、この本来納税すべき税金を今まで免除されていたという事であって、まあ辛いけど、本来あるべき姿に近づく話なんだよなあというところです。

モチロン、小規模事業者へのセーフティーネットや移行期間はしっかり話し合って(岸田首相の口ぐせ・・・)やっていくべきだとは思いますが。
あと、とにかく経理処理が面倒臭いので、もっともっと簡素化省略化して欲しいのが現場の声ですね。