ふるさと納税から締め出された泉佐野市が国を訴えた裁判ですが、今週の最高裁判決で泉佐野市勝訴という結果になりました。
ネットの感想や他の自治体の方の話などを見ていますと、“あんな滅茶苦茶してたのになんでや!”、“正直者が馬鹿をみた!”という意見も結構あります。

そのような意見が出るのも理解できるのですが、今回の裁判の中身をみると、最高裁としては極めて正しい判決を出したと思います。
なぜなら今回の裁判は、泉佐野市の“寄付金集めの無茶な手法の是非を争ったもの”ではないからです。

今回の争点は、“法律改正前は合法だった行為について、法律改正後にペナルティーを課すのはおかしい”、という点です。
例えばコロナ対策で、“マスク着用せず外歩いたら罰金!”という法律が7月から施行されたとして、6月にマスクせず歩いていた人を警察に通報して過去の罰金払えとか、お前6月までマスクしないで歩いてたから7月以降は外出禁止や!とか、あり得ないですよね。

2019年5月までのふるさと納税の法律では、“返戻品は地元産品に限る”とは書いてなかったし、“返戻品は寄付額の3割以内”とも書いてなかったんです。
このブログでも毎年書いていましたが、あくまで総務大臣等からの指導や通達(法律ではない)で“返戻品は地元産品に限る”とか言っていただけです。

正式に法律で“返戻品は寄付額の3割以内”等の規制がなされたのは、2019年6月以降です。
そこで泉佐野市としては、2019年5月までは大丈夫、と判断してギリギリまでギフト券等を配っていました。

ところが、2019年6月以降の法律改正後になって総務省は、2019年5月までの態度が悪かった泉佐野市等は6月以降のふるさと納税から除外する!、としたんですね。
返礼品にアマゾンのギフト券を配ってまで寄付金を集めていた泉佐野市は“感情的”にはやり過ぎだと思いますが、総務省が過去の行為に対して法施行後にペナルティーを課したのは“法律的”にやり過ぎです。

まあ地方自治体なんだから、法律以前の話として倫理的にオカシイ事をすべきではない!という気持ちも分かりますが、国に忖度することなく法治国家の三権分立が守られたという訳で、最高裁は良い仕事をしたなと思います。